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Author Archives: 河村 拓

会社のITはエンジニアに任せるな!

ITを活用した業務の単なる自動化は一巡し、これだけを続けていても効果は薄く、差別化につながりにくくなっています。今後ITをビジネスの成長や事業競争力の向上に活かすには、IT活用を前提にして業務の在り方を抜本的に見直す業務プロセス改革や、自社のノウハウやコンテンツとITを組み合わせたビジネスモデル改革を成功させることが必要になると考えます。

今回読んだ『会社のITはエンジニアに任せるな!』は、上記のうち業務プロセス改革をテーマにしています。「IT部門やベンダーへの丸投げでは業務改革は成功できない」という主張の元、経営層や業務部門の方向けに、これを成功させるための心構え、IT部門(またはIT)に対する関わり方について、専門用語を使わずに分かりやすく解説されています。

ITはビジネスの成長に引き続き有効である一方、ITのスピードが経営や事業のスピードを決める時代になっています。経営層の方に是非読んでもらいたいですし、IT部門に所属する人であれば、本書を経営層や業務部門の方に渡すと良いと思います。

感想

書いてあることはその通りだと感じます。一方で、これのビジネスモデル改革版もあれば読みたいです。

企業内でITを活用して新ビジネスを立ち上げる際に、IT部門を通さずに業務部門側で直接ITを調達・運用するケースが増えています。これは、IT部門を通した場合に比べてスピーディーかつ柔軟な対応を期待できる一方、IT部門が本来持つ管理ノウハウを活用できないため、業務部門側でうまくコントロールできず、システムが個別最適化して品質やコストが安定しないというデメリットもあります。

新ビジネスの立ち上げ期で市場が成長傾向にあるうちはスピード優先で個別最適でも良いのですが、ビジネスの規模が成長し、また市場の成熟度が高まるにつれ、競争に勝つために内部の効率性にも目を向ける必要性が出てきます。

この領域におけるITに対する経営層のかかわり方、業務部門とIT部門の役割分担、適切な管理モデルを導き出し、少子高齢化をものともしない日本発の高生産性ビジネスの実現に貢献することが、最近の私の関心ごとです。

会社のITはエンジニアに任せるな! ―――成功率95.6%のコンサルタントがIT嫌いの社長に教えていること
会社のITはエンジニアに任せるな! ―――成功率95.6%のコンサルタントがIT嫌いの社長に教えていること 白川 克

ダイヤモンド社 2015-12-04
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本書はケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ様よりいただきました。ありがとうございました。

実は著者の白川様の前の書籍である『反常識の業務改革ドキュメント』も昨年に読みました。古河電工の人事総務部門における業務改革プロジェクトを成功に導くまでの過程がありありと書かれています。特に、生産性の高い会議の進め方や、抵抗勢力に対する準備の仕方などが、勉強になりました。泥臭い部分まで書かれており、実践で使える手法を学びたい方にはこちらが非常にオススメです。

反常識の業務改革ドキュメント プロジェクトファシリテーション 〈増補新装版〉
反常識の業務改革ドキュメント プロジェクトファシリテーション 〈増補新装版〉 関 尚弘 白川克

日本経済新聞出版社 2013-10-22
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周囲を熱狂させる企業やリーダーは何が違うのか? 〜Whyから始めよ〜

最近読んだ本で大いに共感し、実践を試みているのが、『Whyから始めよ!』だ。

本書によると、人間の行動に影響を及ぼす方法は、ふたつしかない。操作するか、インスパイアするか、である。操作にはいろいろな方法がある。価格を下げたり、プロモーションを行ったり、恐怖心を煽ったり、周囲と同じ行動を取るよう仲間集団から圧力をかけたり、上昇志向のメッセージを送ったり・・・。

操作を行うことによって、人は顧客や仲間に対して、自分が望むような行動をしてくれるよう仕向ける。これには一定の効果があるし、ビジネスを成功させることにも役立つ。しかし、操作にはデメリットもある。相手の忠誠心を育てることができないため、繰り返し刺激を与え続けなければ効果が薄れてしまうのだ。つまり、操作には短期的な効果しかないため、何度も繰り返すうちにお金も手間もかかり、高くつくのである。

これはマネージャーからしてみれば、何度も刺激を与え続けなければ、部下が望む行動をしてくれないということである。製品であれば、何度も広告を打ち続けなければ、消費者が製品に興味を示さないということである。これでは効率が悪い。何か新しい事業やサービスを生み出そうというときに必要なのは、指示を与え続けないと動かない社員ではなく、共通のゴールに向かって自発的に動く仲間で構成されたチームである。イノベーションを起こした製品は、何度も広告を打ったことではなく、熱狂的なファンによる口コミで成功したはずだ。

こうしたチームや製品を作ろうと思ったら、操作ではなく、相手をインスパイアするしかない。

インスパイアするには、Whyから始めることだ

スティーブ・ジョブズやマーティン・ルーサー・キング・ジュニアのように、世の中には人々をインスパイアし、自発的な行動に駆り立て、熱狂的なファンを生みだすリーダーがいる。彼らは何が違うかというと、考え方の順番が違う。彼らは「Why」から始めているのである。

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普通の人や企業は、儲けるために何を行うか、何を売るかという「What」から考える。そして、他社と差別化するための手段として、「How」を考える。そして、最後に取ってつけたような理念やミッションをつける(「Why」)。こうした人や企業が勘違いしているのは、人はWhatを買うわけではなく、Whyを買っているということだ。

What、How、Whyの順番で考えると、企業のゴールはモノを売って儲けることになる。リーダーからのメッセージも「今月も目標数字を達成せよ」になり、他社との競争に勝つための機能追加や値下げ戦略に現場は躍起になる。自社のサービスを受けることで顧客がどうなるのか、世の中が良くなるのかというWhyは二の次になる。こういう企業に、顧客の心は動かせない。

周囲をインスパイアする企業やリーダーには、明確なWhyがある。そして、それを実現するためのHowを考え、最終的な製品であるWhatを生みだす。彼らにとってWhatは、自らの信念が具現化されたものである。

例えばAppleのジョブズとウォズニアックが始めてパーソナルコンピュータを作ったとき、彼らは個人ひとりひとりが発言権を持つ世界を想像した。旧態依然とした考えや現状を維持出来ればいいという姿勢に対してはっきりと意見を述べられる時代を夢見た。そして、コンピュータというテクノロジーを一人ひとりが使えるようにすることで、一つの会社に匹敵する力を個人に与え、革命を実現しようとした。だから彼らは、誰もがコンピューターのテクノロジーを使えるよう、常にシンプルを追求している。

Appleに熱狂的なファンが多い理由はここにある。Appleの信念は明晰であり、かつ彼らは行動の全てでそれを立証している。Why、How、Whatに一貫性がある。だからこそ人々はAppleを本物だと見なすし、忠誠心をもった熱狂的なファンが生まれる。彼らに取って、他社の製品のほうが値段が安いとか、バッテリーが長持ちするとかいったことは、些細なことでしかない。

自らの志に共鳴する人との仕事に集中する

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「普及の法則」によれば、全体の多数派に当たるEarly Majorityは、他の人が最初に試してくれないと、購入する気にならない人たちである。この層に価格を下げたり、サービスに付加価値をつけたりという操作を行っても、忠誠心を持つことはない。

それよりも、自社の理念や志に共感してくれるInnovatorやEarly Adapterを見つけたほうがいい。彼らは自らが価値を認めたことに対しては、喜んで支持し、多少の不便には耐え、自ら口コミで評判を広げてくれる。なぜならば、理念に共鳴した製品やサービスを取り入れることで、彼らは彼ら自身の人生の目的や大義や信条を、外の世界に示したいからだ。こうした人たちの支持を得られれば、他の人(Early Majority)の支持もついてくる可能性がある。

共通のゴールに向かって自発的に動く仲間と仕事をしたり、熱狂的なファンになってくれる顧客と仕事をしたいのであれば、自社が持っているものを単純に欲しがる相手との取引成立にビジネスの目標を置くのではなく、自社の理念や信条を信じてくれる仲間や顧客とのビジネスに集中する必要がある。

WHYから始めよ!―インスパイア型リーダーはここが違う
WHYから始めよ!―インスパイア型リーダーはここが違う サイモン・シネック 栗木 さつき

日本経済新聞出版社 2012-01-25
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ストレングスファインダーによる、業務改革(BPR)の上流工程でハイパフォーマンスを発揮するのに必要な才能

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業務改革(BPR)の上流工程でハイパフォーマンスを発揮するのは、どういう人材なのか?ストレングスファインダーで有名なギャラップ社は、人材のパフォーマンスについて以下のように主張している。

  • 人は誰でもほとんどすべてのことにおいて、能力を発揮することができる、というのは誤りである。
  • 誰にとっても最も成長の余地があるのは、その人の一番弱い分野である、というのは誤りである。
  • 人の才能は一人ひとり独自のものであり、永続的なものである。
  • 成長の可能性を最も多く秘めているのは、一人ひとりが一番の強みとして持っている分野である。
  • 弱点を克服しても、それは失敗を回避する助けにしかならず、すぐれた成果を収める助けにはならない。

上記にのっとれば、業務改革においても向き不向きがあるのではないか?そこで、同じくギャラップ社が提唱している以下の「強みの定義」に基づき、業務改革の上流工程でハイパフォーマンスを発揮するのに必要な要素を書きだしてみた。

  • 強み=「知識」+「技術」+「才能」
  • 知識(後天的):学習と経験によって知り得た心理と教訓
  • 技術(後天的):行動のための手段
  • 才能(先天的):無意識に繰り返される思考、感情、行動のパターン

1.業務改革の企画構想フェーズに必要な要素

業務内容:

  • 市場動向・経営戦略・業務課題のインプット
  • 業務改革の対象の抽出
  • あるべきモデルの構想
  • 企画書の作成
  • 企画書のプレゼンテーション
  • 必要な知識:

  • 市場の知識
  • 経営と会話できるビジネス知識
  • 業務部門と会話できる業務知識
  • アイデアの基となる幅広い知識
  • ビジネスモデルに関する知識
  • 質問話法の知識
  • 企画書の作成に関わる知識
  • 必要な技術:

  • 複数のアイデアを組み合わさて新しいアイデアを生みだすアウトプット力
  • 質問話法
  • ドキュメント作成力
  • ゼロベース思考力
  • 仮説思考力
  • 論理的思考力
  • 問題発見力
  • 必要な才能(ストレングスファインダー34の強みより):
    アレンジ、最上志向、信念、着想、未来志向、学習欲、収集心

    2.全体最適な業務プロセス設計フェーズに必要な要素

    業務内容:

  • 現状業務プロセスの可視化
  • 全体最適な業務プロセスの設計(バラツキの排除、無駄の排除、共通業務の集約、IT活用による効率化)
  • 必要な知識:

  • 参照できるプロセスモデル
  • 業務部門と会話できる業務知識
  • アイデアの基となる幅広い知識
  • 質問話法の知識
  • IT動向に関する知識
  • 必要な技術:

  • 複数のアイデアを組み合わさて新しいアイデアを生みだすアウトプット力
  • 質問話法
  • プロセス設計力
  • ゼロベース思考力
  • 仮説思考力
  • 論理的思考力
  • 必要な才能(ストレングスファインダー34の強みより):
    アレンジ、最上志向、信念、着想、責任感、信念、学習欲、収集心

    3.考察

    業務改革の上流工程では、現状のやり方に縛られず、顧客(市場)の声や経営戦略をもとにゼロベースであるべき姿を考え、実現方法を設計する力が求められる。そのため、アレンジ、最上志向、着想、未来志向など、創造性にかかわる才能が特に重要だと判断した。

    逆に、あまり相性が良さそうでないのは、共感性、慎重さ、調和性、適応性など。業務改革では現状を否定し、今の延長にあるべき姿はないという前提で行う必要がある。その中で、必要以上に現場のやり方に理解を示したり、変わることに慎重だったりすると、改革のブレーキとなってしまうかもしれない。

    さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす
    さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かす マーカス バッキンガム ドナルド・O. クリフトン 田口 俊樹

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    上記で示した才能の中身は、以下のとおりである。

    アレンジ:
    アレンジという資質を持つ人は、たくさんの要素を構成し管理することができると同時に、一度作り上げた構成にこだわらず、作り変えることをいとわない柔軟性をも備えています。すべての要素と資源をどのように組み合わせたら、最高の生産性を実現できるのかを考えるのが好きです。

    最上志向:
    最上志向という資質を持つ人は、強みを利用して、平均的ではなく最高の水準を、個人ないしは集団において追求します。単なる強みを最高レベルのものに変えようとします。

    信念:
    信念という資質を持つ人には、その人の中核となる強い価値観があり、しかもその価値観は変わらないものです。その価値観を実現することが、人生の目標となります。

    着想:
    着想という資質を持つ人は、新しいアイデアを考えるのが大好きです。全く異なる現象に見えるものの間に、関連性を見出すことができます。

    未来志向:
    未来志向という資質を持つ人は、未来がどのようなものかについて考え、そこからアイデアを得ます。未来についてのビジョンを語ることで、人々を高揚させます。

    学習欲:
    学習欲という資質を持つ人は、学習意欲が旺盛で、常に向上を望んでいます。特に結果よりも学習すること自体に意義を見出します。

    収集心:
    収集心という資質を持つ人は、より多くの知識を求める知りたがり屋です。ものを集めたり、あらゆる種類の情報を蓄積したりするのが好きな人が、このタイプに多くみられます。

    責任感:
    責任感という資質を持つ人は、一度やると言ったことは必ず実行する精神の持ち主です。正直さや忠実さなどの普遍的価値観を達成することに、意義を感じています。

    信念:
    信念という資質を持つ人には、その人の中核となる強い価値観があり、しかもその価値観は変わらないものです。その価値観を実現することが、人生の目標となります。

    プロセス思考の導入で、法人営業の業務改革を行なう方法

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    受注にいたるまでに必要な条件をプロセス化し、組織として標準的に行えるようにすることが、法人営業における業務改革のポイントです。

    よくあるのが、受注目標の数字と訪問件数のノルマがリンクされていないケースです。こういう会社では、「訪問件数のノルマを達成しているのに、受注目標が達成できない!」ということが起こります。そういう時によくよく話を聞いてみると、「同じ担当者ばかりに会っていた」「案件の見込みが低い顧客に訪問していた」「既存顧客にしか行っていなかった」などなど、いろいろ活動内容に問題があったことが分かります。

    今日は、売上とプロセスをリンクさせる方法を、私が参考にした『元キーエンスのトップセールスが教える 誰でも売れる「プロセス思考」営業術』の内容も交えてご紹介します。

    1.売上目標と案件件数をリンクさせる

    まずは、売上の1つ前のプロセスである、「案件を何件とれれば売上目標を達成できるか?」を考えます。

    今期の売上目標が1億2000万円だとします。そのうち、リピートが見込める売上が7000万円あるとすると、売上目標の達成のために新たに作る必要があるのな5000万円であることが分かります。

    5000万円の新規売上を作るには、何件の案件が必要なのでしょうか?それを知るには、推定案件単価と、推定案件成約率の2つが必要です。推定案件単価が100万円だとすると、5000万円の新規売上には50件の成約が必要であることが分かります。また、推定案件成約率が40%だとすると、50件の成約には125件の案件が必要であることが分かります。

    つまり、1億2000万円の目標数字を達成しようと思ったら、単価100万円の案件を125件作るために何が必要かを明らかにし、プロセスを管理しなければならないのです。

    Process

    2.案件を作るための施策を立てる

    必要な案件数が明らかになったら、次はそれを作るための施策を立てます。施策では、以下の内容を明らかにします。

    • 「どこに」:ターゲット(顧客/業界など)
    • 「なにを」:商品(注力している商品/担当している商品)
    • 「どのように」:営業手法(訪問、電話、DM、メール、展示会、広告、ホームページなど)
    • 「どれくらい」:量(訪問件数、電話件数、DM送付数など)
    • 「いつまでに」:時期、期間

    よくあるのが、訪問件数だけが決まっていてターゲットが明確化されていなかったり、どの商品を遡及するのかが決まっていなかったりするケースです。そうすると、売上のポテンシャルで判断せずに行きやすい企業を訪問してしまったり、自分が紹介しやすい(紹介したい)商品ばかりを訴求してしまう、などといったことが起こります。

    世の中の動向や自社のミッションを踏まえて、今どの商品やサービスに注力して販売するべきなのか、それを必要としている層(ターゲット)はどこなのかを明確にしなければ、現場は楽な方へ楽な方へと流れてしまうでしょう。

    3.施策のプロセスを管理する

    施策が決まったら、それをプロセス化し、管理できるようにします。パフォーマンスの高い人の活動を分析し、そこから有効性の高い標準プロセスを作ります。

    以下のような管理シートを活用することで、決められた施策や標準プロセスにのっとって活動していない人がいればすぐに分かります。

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    また、プロセス全体でのボトルネック分析を行ない、フェーズアップ率の低いプロセスを可視化することで、誰がどのプロセスで問題を抱えているのかが分かるようになります。例えばコンテンツの紹介から提案の合意までで問題を抱えているようなら、紹介方法に問題がないか確認する、うまく出来ている人のやり方を学ばせてみる、ロールプレイングでトレーニングを行うなど、いくつかの対策を行なうことが可能です。

    上記がPDCAサイクルとして回れば、成果の高い人のやり方にだんだん周囲が近づけるようになります。

    元キーエンスのトップセールスが教える 誰でも売れる「プロセス思考」営業術
    元キーエンスのトップセールスが教える 誰でも売れる「プロセス思考」営業術 藤岡 晋

    日本実業出版社 2013-09-20
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    求められる人事の業務改革〜経営に必要とされる今後の人材マネジメント〜

    最近は人材育成プロセスの改革や、人材への積極的な投資を行なう企業が増えていると感じています。企業の競争力の維持/向上にむけて、優秀な人材の確保/育成は、重要なテーマと位置付けられているのでしょう。

    実際に仕事で上記のようなご相談を受けたり、ご支援をしたりする場面が増えている中、最近読んだ本を今日はご紹介します。

    1.人材マネジメントに対する経営の要求

    企業は今、様々な変化に直面しています。

    • 人口減少と少子高齢化により、次世代リーダー候補は今後不足する見通しである
    • グローバル化により、世界の企業と競争が激化し、差別化が難しくなっている
    • 市場の変化、ニーズの変化が早く、商品/サービスのライフサイクルが年単位から月単位へと、短くなっている

    このような中で経営が求める人材像も高度化しており、具体的には

    • 変革やイノベーションを現場で推進しながら、市場の変化や職場の課題にスピーディーに対応し、ビジネスの成果を出せるリーダー
    • ビジネスプランをつくり、自分から動き、部下や周囲の人にリーダーシップを発揮できるリーダー

    上記のニーズが特に高いと感じます。

    よって、上記のようなハイポテンシャルな人材を早期発見/早期育成する取り組みを行い、将来必要となる適性な数と質のリーダー人材を確保することが、経営が人事に期待することだと言えます。

    2.既存の仕組みの限界

    しかし、上記のニーズに答えられている人事は、実は少数派なのではないかと思います。日々の業務で逼迫し、経営からのニーズと現状とのギャップを埋める余力がなく、従来からの人材育成制度を回すことで手一杯となっているのが実情ではないでしょうか?

    人事部門に経営からのメッセージがあまり浸透していなく、経営方針と組織とを絡めた人事施策がないまま今までの経験で対応している企業も多いです。

    3.求められる人事の業務改革

    今のやり方をベースとして維持している限り、どれだけ改善を行っても、経営のニーズに答えることは根本的に不可能であると言えます。人事には今、業務改革が求められていると言えるでしょう。

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    『MBAの人材戦略』の著者であるデイビッド・ウルリッチによれば、人事には上記の4つの役割があるとされています。この中で、特に業務改革によって強化していく必要があるのが、「Strategic Partner」と「Change Agent」です。

    企業の「Strategic Partner」として、人事は企業の経営ビジョン、戦略やバリューを踏まえ、自社における”優秀な人材”とは何かを定義し、そういった人材をいつまでどれくらい確保する必要があるのかを明確にしなければなりません。

    また、企業の「Chage Agent」としては、上記人材の確保/育成に向けて、既存の仕組みの見直しが求められます。採用、配置、能力開発、パフォーマンスマネジメント(業績管理)など人材の育成と活用にかかわるすべてのプロセスを、企業のビジネス戦略を踏まえ、目的をもって体系的に行えるように再構築する必要があります。

    上記のプロセスを推進する手段として、最近はタレントマネジメントシステムの導入実績が増えているようです。企業の変革において、今後注目度の高いテーマだと思います。

    大転換する人材マネジメント―迫られる人事部の意識変革
    大転換する人材マネジメント―迫られる人事部の意識変革 伊東 朋子

    東洋経済リサーチセンター 2012-07
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    自由であり続けるために捨てるべきこと

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    小学校6年生のときに、5年間暮らしたアメリカから日本に帰国した。そこで一番強く感じたギャップが、日本は周りに抑圧される傾向が非常に強いということだ。自分の意見を主張することは避けるべきであり、周りの様子をうかがいながら、空気を読んで、協調性を持った行動をすることが暗黙のルールとして存在していた。

    だからなのか、社会人になっても周りの目に縛られ、自分に嘘をつきながら、我慢して働く人が多いと感じる。そういうことを続けていると、だんだんと自分の本音がどこにあるのか自分でも分からなくなってしまう。

    今日紹介する『自由であり続けるために』は、内なる情熱をとり戻すためのヒントがたくさんつまった一冊だ。その中から特に私が共感した箇所をピックアップしたい。 read more »

    営業活動がビックリするほど見える!〜プロセスの標準化とモニタリング〜

    一部の飛び抜けた企業を除けば、営業活動の悩みはどの企業にも存在するのではないかと思う。しかしその悩みの原因がどこにあるのかは、良く見えないことが多い。

    自社の問題がどこにあるのかが見えるフレームワークがあればと思っていたが、今回ご紹介する『最強の営業戦略』からはいくつかのヒントを得ることができた。今日はそれらをまとめておこうと思う。

    1.営業課題解決の6ステップ

    営業課題解決の⑥ステップ

    営業活動における悩みの要因としては、営業活動の評価指標の誤り、戦略自体が不明確、戦略と個別活動のリンクの不足、営業の役割定義と活動標準化が未確立、営業活動が非効率、営業体制が不適切、モニタリング・PDCAサイクルの不全などが考えられる。

    本書ではそれらを解決するステップとして、6つを定義している。

    この記事では特に参考になった2つ、「ステップ③営業の役割定義と活動の標準化」と、「ステップ⑥営業活動のPDCAの仕組みの確立」を取り上げる。

    2.営業の役割定義と活動の標準化

    一口に営業といっても、求められる役割は企業によって異なる。まずはそれを定義することが必要である。そして、求められる役割を実現するためにどのような活動が必要なのかも標準化する必要がある。

    ハイパフォーマーとローパフォーマー

    ハイパフォーマーとローパフォーマーを比較すると、上の図のような傾向がある。ハイパフォーマーが活動量に比例して販売量が伸びるのに対し、ローパフォーマーは活動量と販売量に相関関係がない。これは、ハイパフォーマーが成果を出すうえで計画的に活動しているのに対し、ローパフォーマーは多くの部分で運任せになっているためにおこる。こういう状態で活動量ばかりを増やす施策をとると、まったく成果が出ないことになる。

    もし自社が上の図のような状態であれば、やるべきことは役割の明確化と、活動プロセスの標準化である。ハイパフォーマーが成果を出す上でどういった有効活動をしているのかを抽出し、ベストプラクティスとして整理するのが望ましい。

    3.営業活動のPDCAの仕組みの確立

    営業プロセスのボトルネックの特定

    標準化された活動プロセスが定義されたら、いくつかの企業にたいして個別の活動プランを作成したい。活動プランをマネージャーが定期的にモニタリングすることで、担当者がどこでつまずいているのかが見えるからだ。

    ハイパフォーマーであれば、自分の取るべき行動や施策を全て理解して活動していることが多いため、最終的な結果だけで判断してもいい。しかし、あるべき営業活動の内容がわかっていない場合には、結果だけで評価してもパフォーマンスは向上しない。よって、生産性の高い活動プロセスが定着するまでは、マネジャーが一緒になって活動プランを作成し、それを定期的にモニタリングすることが必要である。

    所感:夢のある営業スタイルを目指して

    本書で書かれていることの多くは、営業活動の生産性を高める上で有効な手法だと感じる。ただ、「戦略」とか、「攻略」といった用語がところどころに出てくるところに違和感を感じた。

    こういう用語を目にするとき、私がイメージするのは「いかに顧客に売り込むか」という営業スタイルだ。そこでは自社が儲けることが第一であり、その結果顧客にも利益があればいいと考えている。評価される大事な項目はどれだけ顧客や世の中に貢献したかではなく、売上や利益といった数字である。

    私が目指しているのは「いかに顧客と共に素晴らしい仕事を成し遂げるか」という営業スタイルである。素晴らしい製品やサービスを提案・提供することに価値があり、その結果として顧客にも自社にも、そして世の中にも利益が生まれるはずだと考えている。どれだけ世の中にとって意義のある仕事をしているか、その結果として正しい利益が出ているか、どちらも同じくらい重要である。

    前者の営業スタイルは、自社が他社と比べていかに優れているかをアピールする。後者の営業スタイルは、自社と顧客が協力することでどのような未来を実現できるかを膨らませる。

    私は後者のスタイルのほうが楽しいし、夢があるし、世界を変えるチャンスがあると思う。また、結果的に大きくそして持続的に利益が生まれるのも、後者であると思う。そして、私は今の職場でそれを実現できると信じている。

    最強の営業戦略
    最強の営業戦略 栗谷 仁

    東洋経済新報社 2009-12-04
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    戦い抜いたメッセージはシンプルで美しい

    Think simple

    情報の氾濫で、広告に対して人々は心の壁を作っている。それを乗り越えるには、ロジックではなく感情を揺さぶる強烈なメッセージを伝えることである。 read more »

    ユベントス2011〜2012、私が選ぶ活躍した人ランキング「ベスト5」

    Juventus

    2011〜2012シーズン、セリエA37節、愛するユベントスが見事に優勝を決め、最終節を前にスクデットを獲得しました!しかも37試合を終えて無敗!カルチョスキャンダルを経てセリエBに降格したり、一昨年と昨年はともに7位で終えたりと苦しい時期が続いただけに、喜びもひとしおでした。本当にユベントスのファンで良かったなと思います。

    Juventus scudetto

    選手の顔ぶれだけを見れば、ACミランやインテルには敵わないのかもしれません。しかし、チームは一丸となり、共通のプレー原則のもと、一人ひとりがチームの為に全力を尽くしてくれました。全員がMVPという気持ちではありますが、今日はあえて私が考える今シーズン活躍した人のベスト5を選んでみたいと思います。 read more »

    SEが苦手にしがちなドキュメント力を強化する5つの視点

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    SEに最も必要なスキルは「伝える力」だと言われています。分業が前提となるシステム開発において、意志の伝達がうまく出来ないことは致命的だからです。

    よって、作成するドキュメントにも正しく伝える技術が求められるのですが、しかし多くのSEはドキュメント作成を苦手としているようです。

    そこで今日は、SEがドキュメント作成で失敗しがちなポイントと、ドキュメント力を強化するための5つの視点について、『エンジニアのための文章術再入門講座』からご紹介します。 read more »