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Author Archives: 河村 拓

『社長が贈り続けた社員への手紙―渡邉美樹の夢をかなえる手紙』

渡邉美樹さんの著書、「社長が贈り続けた社員への手紙―渡邉美樹の夢をかなえる手紙」を読んだ。
渡邉さんといえば、外食産業のほかにも介護、農業、環境、教育など現在幅広い事業展開をしているワタミ株式会社の創業者だ。
そのワタミの大きな根幹となっているのは、渡邉さんの使命感だと個人的に思っている。
外食産業を通して一人でも多くの人の触れ合いの時間に貢献したい、この国の食料自給率の問題を何とかしたい、この国の教育を救いたい。
そんな渡邉さんの絶えない熱い思いが、ワタミという会社の価値観、倫理観を支えている。
本書はそんな渡邉さんが創業以来全社員に対して毎月2通ずつ送ってきたメッセージの中から、社外の人が読んでも共感できると思われるものを抜粋したものだ。
読んでいて感じたのは、ワタミの経営目的に対する渡邉さんの執着心である。
全社員に向けられた手紙で、渡邉さんは何度も何度もその大切さを伝えようとしている。
経営目的は言い換えればワタミの存在意義であり、渡邉さんの夢でもあるのだが、それを実現するには社員一人一人が同じ信念を共有できなければならないことを知っているのだろう。
しかし、繰り返し相手を説得するのは非常に疲れるものである。
「一度言ったことを二度言わせるな」とはよく聞く台詞だ。
しかし世の中、一度言えば次からは同じことを言う必要のない人ばかりではない。
中には繰り返し言っても理解できない人もいる。
それを「一度言っても理解できないそいつが悪い」と投げてしまえば、目的を果たすことができない。
本気で相手を説得しようと思ったら、理解するまで言い続けるしかないのだ。
そこまでできるかどうかが結局のところ、夢をかなえられる人とそうでない人の差なのかもしれない。

社長が贈り続けた社員への手紙―渡邉美樹の夢をかなえる手紙 (中経の文庫)
社長が贈り続けた社員への手紙―渡邉美樹の夢をかなえる手紙 (中経の文庫) 渡邉 美樹

中経出版 2006-11
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おすすめ平均 star
star仕事の熱意を感じる

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『斎藤一人奇跡を呼び起こす「魅力」の成功法則』

柴村恵美子さんの著書、「斎藤一人奇跡を呼び起こす「魅力」の成功法則」を読んだ。
斎藤一人さんと言えば「銀座まるかん」の創業者であり、2003年度全国高額納税者番付第一位の大金持ちだ。
しかも、土地売却や株式公開による高額納税者がほとんどを占める中、純粋な事業所得のみでの偉業である。
93年度から11年連続で10位以内にランクインしており、累計納税額も第一位となった。
そんな一人さんを師匠と仰ぐ本書の著者、柴村さんが、奇跡を呼ぶような成功法則があるという。
一日3分、「3ホメ」をするだけで、奇跡のようなことが次々と起こり、経済的にも精神的にも成功者になれるというのだ。
一日たった3分で成功者になれるなら誰もがあやかりたいと思うのではないか。
さて、その「3ホメ」の正体とは何か。
「国褒め」「物褒め」「命褒め」である。
一日3分間、自分の住んでいる国や都道府県、都市を褒め、机やパソコン、エアコンなど身の回りのものを褒め、さらに周りにいる人達を褒めるだけで、奇跡が呼べるというのだ。
「そんなわけあるか」という反応が聞こえてきそうだ。
でも思い出してほしい、これは日本一のお金持ち、一人さんの弟子、柴村さんがいっていることなのだ。
自分の狭い世界観や常識にとらわれず、素直な気持ちでじっくり読んでみると、非常に理に適っているから面白い。
「国褒め」を例に一つ考えてみたい。
例えば自分が構えている自営業のお店の横に、新しく大型店ができたとする。
そのとき、「大型店ができたせいで、自分の店から客が奪われてしまう。商売あがったりだ。」と考える人と、「大型店だしたくさんのお客様が集まりそうだ。帰りにうちに寄ってくれる人もいるだろうし、これは商売のチャンスかもしれない。それに大型店が駐車場を用意してくれるおかげで、自分のお店にも遠くから人が来てくれるようになるかもしれないな。」と考える人、どちらが成功しそうだろうか?
要するに、自分が店を構えている「土地」に対してないものねだりをするのと、どんどんいいところを見つけてそれを活用しようとする人との差なのだ。
積極的にいいところを見つけてしまう人のほうが、その利点を生かして成功しそうではないだろうか?
また、「命褒め」についても考えてみたい。
人のいいところを積極的に見つけて褒める人は、周囲の人から魅力的に映るはずだ。
そういう人の下には、その人の持つ「魅力」という引力に引かれて周囲の人達が集まってくる。
これは、「ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか」で梅田さんが述べていた、「誰かの心に印象を残し、大切なときにその誰かから誘われる力(4月15日の記事参照http://d.hatena.ne.jp/lemoned-icecream/20080415/1208230209)」につながってこないだろうか。
考えれば考えるほど奥が深く、感動的だ。
しかし、それを1日3分間で誰でも実践できる簡単な方法論に落とし込んでしまったところに、この本の偉大さがあると思う。
まずは実践である。
真意がわからなくても、とりあえず実践してみることで後からわかってくることもある。
「不思議だ」と思いつつも、本を読んで、実践である。

斎藤一人 奇跡を呼び起こす「魅力」の成功法則 (East Press Business)
斎藤一人 奇跡を呼び起こす「魅力」の成功法則 (East Press Business) 柴村 恵美子

イーストプレス 2008-01
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おすすめ平均 star
star魅力アップのために何ができる??
star3分を私にください。幸せのおすそわけ
starぜひ一度読んでみてください

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『ザ・ビジョン 進むべき道は見えているか』

最近ビジョンを扱うことが多かったので、今日は優れたビジョンとは何かを扱った良著、「ザ・ビジョン 進むべき道は見えているか」を紹介しようと思う。

ビジョンがあるから集中できる。
ビジョンがあるから進む方向がわかる。
ビジョンがあるから全力でがんばれる。
ビジョンがあるから「全速前進!」で進めるのだ。
「全速前進!(Full steam ahead!)とは蒸気船が走っていた時代の言葉で、大型船がエンジン全開で航行することを意味する。
現代では、その言葉は少し違ってきている。
すなわち目的がはっきりしていて、そのことに確信があって迷いがなく、しかもそれを実現できる自信にあふれていて、どんな障害があっても断固として進んでいける状態のことだ。
本書でいう「全速前進!」とは、明確なビジョンを持ったとき―つまり自分自身を知り、何を基準にして、どの方向に進めばいいかを知ったとき―何が起こるか、そしていかに全力で突き進むことができるかを示すキーワードである。

これが冒頭で掲げられている一文なのだが、これを読むだけで私は「ビジョン」が持つ可能性、パワーに思わずワクワクしてしまった。
そんなビジョンの持つ力を、本書はある会社を舞台にした物語形式で解き明かしてくれる。
簡潔にまとめると、説得力のあるビジョンには以下の3要素が必要となる。
1.有意義な目的
2.明確な価値観
3.未来のイメージ
つまるところビジョンとは、自分は何者で(有意義な目的)、何を目指し(未来のイメージ)、何を基準にして進んでいくのか(明確な価値観)をあらわしているのだ。
ここで「自分」とは何を指すのだろうか。
そう、ここには企業それ自体とともに、そこで働く社員一人一人も含まれている。
いくらビジョンに力があっても、それを掲げただけでは価値がないのである。
そこで働く社員一人一人にその価値が理解でき、心を動かせて初めて真価を発揮するのだ。
しかし、例えば社長が一人でビジョンを作成し、それを部下に渡すだけではその価値は伝わらない。
そう、ビジョンはその内容と共に、伝達のプロセスも大事なのだ。
そして、伝達のプロセスのひとつのキーワードになるのが、ビジョンを作成するに当たってどれだけの社員を巻き込めたか、である。
簡潔にまとめたが、こんなものではまだまだ足りない。
本書はもっともっと奥が深いのだ。
また、ビジョンとは企業だけに必要なものではなく、むしろ一人一人が持つべきものだ。
私は大変なエネルギーを本書から与えられた。
是非、読んでみてほしい。

ザ・ビジョン 進むべき道は見えているか
ザ・ビジョン 進むべき道は見えているか 田辺 希久子

ダイヤモンド社 2004-01-08
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おすすめ平均 star
star求心力を高め、進むべきを道を明らかにする
star生きていく根底を築く大事なもの
star人生の道しるべ

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『組織変革のビジョン』

金井壽宏さんの著書、「組織変革のビジョン」を読んだ。
誤解のないように述べておくと、本書は組織変革やビジョンにまつわる「How to」本ではないし、そもそも「こうすれば組織変革は誰にでもできる」というような方法は存在しない。
気をつけるべき落とし穴や、必要な資質などはあれど、最終的にはどんな障害も乗り越えて「絶対にやりきる」という気概が問われるのだ。
何かを変革しようとすれば、それには抵抗が起こるものだ。
それに耐え、恐れを克服し、やり抜ける人にのみ、変革というものは起こせるのだろう。
そこを踏まえて読めば、本書は示唆にとんだ非常に優れた良著であると思う。
変革を起こそうとすれば、それには必ずリーダーとなるべき人が必要になる。
本書ではリーダーに必要な資質として、以下のようなリーダーシップ論を紹介している。
①energy 自らが元気
②enerize 周りを元気にする
③edge ずばっと決断し果敢にアクションを起こす
④execution とことんやり抜く
これらをすべて兼ね備えた人物として、私は真っ先にSteve Jobsを思い浮かべた。
Steveは自らがエネルギーの塊であると共に、そのエネルギーを部下たちにも伝え、心に火をつけてしまうパッションがあった。
こんなエピソードがある。
Steveがある会議にて自分のビジョンを語る際に、「海賊になろう」というフレーズを使ったそうだ。
Steveの素晴らしいスピーチに感動した部下たちの中には、オフィスの自分の机に海賊旗を掲げるものまで出たのだ。
いかにSteveが優秀なモチベーターであったかが伺える。
また、Steveには自分の直感、信念を絶対に曲げない頑固さと(それがトラブルの原因になることもあったが)、それをやり抜く抜群の行動力、それに加えて、周囲が思わず信じてしまうようなカリスマ性があった。
この4条件を考える上で非常に大切なキーワードとなるのが、魅力的なビジョンであると思う。
それを思い浮かべただけで熱くなれ、どんな困難でもねじふせる勇気が沸いてくるような魅力的なビジョンがなければ、仲間をモチベートすることはできないし、変革を進める上で現れる障害を乗り越えることはできないだろう。
Steve Jobsも自らのスピーチで、自分が創った会社を首になりながらも情熱を失わず再出発できたのは、自分のやっていたことを愛していたからだと語っている。
ビジョンの話をすると、大事なのはわかっているが忙しくてできないといったように、必ず言い訳が出てくる。
そんな時は、本書で紹介されている以下の言葉を思い出したい。
「忙しいから大きな絵が描けないのではなく、大きな絵が描けているから忙しくても大丈夫なのだ。」
未来のイメージが描けていなければ、目先の作業に没頭しながら先行きの見えなさに不安を覚えてしまう。
大きなビジョンが描けているからこそ、今自分がやっていることが必ずそこにつながっているのだという確信を持って前進していける。
著者の言うように、忙しいから絵が描けないのではなく、描けないから忙しいだけなのだ。

新しいアイデアを試すことを恐れていては発展はない。
新しいアイデアへの反対は、新しいアイデアが古い価値観を破壊するから起きてくる。
衝撃的なアイディア、会社を飛躍させるアイデアであればあるほど、反対は大きくなる。
あなたのプランやアイデアが本当に力のあるものであれば、とことんやり抜く元気も勇気も生まれてくるはずだし、反対意見を精力的に説得する気にもなれることもある。

魂を振るいあがらせるような大きなビジョンを描き、困難にあいながらもそこにたどり着こうと必死に舵をきって前進し続ける、そんなある種「海賊」のような生き方が、私たちの人生を色鮮やかで興奮に満ちたものにしてくれるのではないか。

組織変革のビジョン (光文社新書)
組織変革のビジョン (光文社新書) 金井壽宏

光文社 2004-08-18
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おすすめ平均 star
star組織を変えることは人を変えることである
star忙しいから絵が描けないのではなく、描けないから忙しいのだ
starしみじみと思いました。

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Serendipity

昨日読んだ著書、「ひらめき脳」の最後に、「serendipity」=「思わぬ幸運に偶然出会う能力」が取り上げられていた。
「歴史上に残る発見」というと、論理をとことん追及した結果得られたものだと思いがちだ。
だが実際にはそういうものは例外的で、科学史上のほとんどの発見に「serendipity」と呼べるような偶然があったようだ。
偶然というと自分ではコントロールしようもなく、結局はなるようにしかならないのかと思いがちだ。
しかし、結局は運なのだと投げやりになって何もしないでいては「運」はつかめないというのが私の考えだ。
しっかりと準備してアンテナを張っておかなければ幸運に気づかずに見逃してしまうし、そもそも運任せで何もしなければ幸運がやってくることもない。
例えば誰かが自分の人生に多大な影響を与えてくれるような本を紹介してくれたり、任された仕事が大きなチャンスを含んでいたりと、結局のところ「運」は周囲の人に運ばれてやってくることが多い。
だからこそ普段から魅力的で、その魅力という「引力」にひきつけられて周囲の人が寄ってくるような人は、同時に「運」も引き寄せているのだと思う。
著者も「serendipity」をコントロールすることはできないが、そのような幸運と出会うために普段から心がけることはできると述べている。
また、以前紹介した梅田望夫さんの著書「ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか」においても、同様の趣旨のことが以下のように記してあった。

英語で「in the right place at the right time」という言葉がある。
「正しいときに正しい場所にいる」。このなんとも不可思議な言葉の重要性を、私はシリコンバレーで学んだ。
人生のすべてがこの言葉にあるとまで思う。
生まれつきの大天才は別として、ほとんどの人は偶然や運やめぐり合いによって、人生が大きく展開していく。
私たちは、無意識のうちにさまざまな選択をしながら日々行動しているわけだが、その選択・行動パターンによって、運や偶然をつかむ人とそうでない人がいる。
その人が磨いてきた能力に加えて「正しいときに正しい場所にいる」ことが重要で、それは突き詰めていえば、誰かの心に印象を残し、大切なときにその誰かから誘われる力なのである。

「天才とは、一パーセントのひらめきと九十九パーセントの努力のたまものである」というエジソンの有名な言葉があるが、これは「serendipity」に出会い、それを生かす道筋におけるさまざまな要素の割合のことを言っているのだそうだ。
「九十九パーセントの努力」は日ごろの地道な努力や、「serendipity」に出会った後にそれを実現するステップのことであり、「一パーセントのひらめき」は「serendipity」に出会い、それに気づくこと。
「人生の目的が見つからないから何もしない」というような人は、ずっとそのままなのだ。

『ひらめき脳』

茂木健一郎さんの著書、「ひらめき脳」を読んだ。
詰め込み教育により現代の子供たちから想像力が奪われているという指摘があるが、「新しい価値」を生み出し社会に広める上で、「ひらめき」はまさに欠かせないものだと思う。
本書を読む前から、私は「ひらめき」に対する自分なりの解釈があった。
「ひらめき」はひたすら力んで苦しい思いをしながら考えても生まれてくるものではない。
必要な情報を頭にインプットしてリラックスしておけば、後は頭が勝手に計算して、あるとき突然「Aha!」となる。
逆に言うと、必要な情報が頭にインプットされていない状況からは「ひらめき」が生まれることはない。
つまり、無からは何も生まれない。
ひらめきを生むために必要なこと、それは必要な情報を頭にインプットすること、そして、ひらめきやすい脳の状態(リラックスしたり、何か面白いことを考えている状態)を保つことである。
これに対し、以下が著者の研究結果である。

次に多い誤解は、ひらめくためには、考えることを脳に強制し無理やり何かひねり出す必要があるのではないかというものです。
脳は、どんな時にも常に自発的に活動しています。
ひらめきやすい環境というのは、外部からどういったインスピレーションが与えられるかではなく、いかに自分の脳がリラックスできるかということが大事なのです。
ひらめきを生むためには、記憶を司る側頭葉に、ある程度準備ができていないといけません。
その準備とは「学習」のことです。
ひらめくためには、それだけのマテリアルを側頭葉に入れ込んでおかないといけません。
記憶というのは、覚えたことをただ再現するのではなく、編集されていく。
この編集する力こそが、ひらめきを生む原動力にもつながるのです。

驚くほど、私の解釈と脳科学的に解析した著者の答えは同じだった。
しかし、やはり科学的に追求した著者の根拠は深いもので、それが直感的、実体験ベースの私の考えをさらに強固にしてくれると共に、今後更に豊かなひらめき人生を続けるための数々の貴重なヒントを与えてくれた。
さて、著者は「ひらめき」は訓練することで強化することができるとしている。
しかし同時にそれは、学校教育では実現しにくいとも述べている。
決められた時間内で行う教育では、いつひらめくかわからないものを待つ「非効率なスロー・ラーニング」はできにくく、そういうものを切り捨てることで「詰め込み教育」は成り立っている。
私は高校生のとき数学が好きになれず、答えの解き方を覚えることに違和感を感じた。
そもそも数学とは何のためにあるのか、答えの導き方を「暗記」することに何の意味があるのかと考えた時期があった。
そのときの私の答えは、「数学とは論理的思考を養うためにあるもの、だから答えを見て覚えるのは、テストではいい点が取れるかもしれないが、本質的ではない。大事なのは自分が持っている知識を論理的に組み合わせ、答えのわからない問題に自分なりの解を導く訓練をすることだ。」というものだった。
その日から私の数学の勉強スタイルが変わった。
わからない問題があると答えを見るのではなく、わかるまで2日でも3日でも考えるようになった。
うまく解を導けないときは、論理展開に欠陥があったり、必要な情報を見逃していたりと何かしら理由があるはずで、それを自分で発見し解決していく訓練をしたのだ。
どこに不備があるのかもわからない問題をひたすら考えるのは苦しかったが、あるとき「Aha!」とひらめいたときの快感は数学が好きになるのに十分だった。
今振り返ると、この訓練は「ひらめき」を鍛える上でとても効果的なものだったのかもしれない。
自分の直感、心の声を信じて進むことはやはり大切だと思う。
時に本質をたくみに突いているのだから。
Follow your heart.

ひらめき脳 (新潮新書)
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『イノベーション思考法』

黒川清さんの著書、「イノベーション思考法」を読んだ。
現在のグローバル時代の中で必要なのは、技術革新ではなくイノベーションであると著者は述べているが、私も同じ考えだ。
例えばコンピューター事業ではいくつかの企業が技術力、価格のみで競いながら、結局はまったく同じようなものを創っているように、同じ枠組みの中で横並びの競争をしている感が否めないと思う。
商品を差別化せず同じ顧客層のパイを奪い合い続け、しかもいかに安く売るかばかり考えていたら、全体の利益率が低下していくのは当たり前である。
その上そこに中国やインドから同じ質でよりやすいものが輸入されてくるようになれば、ますます日本の競争力は低下する。
今の日本に必要なのは新しいアイディアや技術の発見ではなく、それを元に新しい「価値」を創造し、社会に広め、経済成長を呼び起こし、社会全体を変えるような、「イノベーション」なのだ。
日本でイノベーションが起こるのを妨げてきた要因を、著者は「政産官の鉄のトライアングル」としている。
政治、産業、官僚が一体となり、過去の成功モデルに縛られ、また、自分たちの既得権益を守ろうとしたことが変革の芽を摘んできた。
それを打破するのは、すでにある「組織」ではなく新たな「個」「人財」ではないだろうか。
原因が「政産官の鉄のトライアングル」にあるとしても、責任を他人に投げやりにし、誰かが何かを変えてくれるのを待ちながら愚痴を言っているだけの人も同じ穴の狢だろう。
自分の安定を保証してくれるレールを誰かが引いてくれるのを待っているだけなのだから。
大きな組織に身をゆだねて、言われたことを黙々とこなしながら年功序列、終身雇用、退職金という制度を前に自分をつぶしていてはだめだ。
責任を他人に丸投げし、愚痴ばかり言っていてもだめだ。
常に新しい価値を創造する視点を持ち、自分の心の声、信念を貫く強さを持ち続けたいと思う。
Follow your heart.
Stay hungry, stay foolish.
        -Steve Jobs

イノベーション思考法 (PHP新書)
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スティーブ・ジョブズ

YoutubeにてSteve Jobsの面白い動画を発見したので、のせておこうと思う。
「スティーブ・ジョブズ-偶像復活」にて著者が「至高のパフォーマンスアート」と賞した彼のプレゼンテーションがここにある。
①スタンフォード大学卒業式でのスピーチ
Discurso de Steve jobs en Stanford (subtitulado)

It was pretty scary at the time, but looking back, it was one of the best decisions I have ever made.
Of course, it was impossible to connect the dots forward when I was in the college.
But it was very very clear looking backwards, ten years later.
Again, you can’t connect the dots looking forward, you can only connect them looking backwards.
So you have to trust that the dots will somehow connect in your future.
Believing that the dots will connect down the road, will give you the confidence to follow your heart.

過去を振り返って点(人生における分岐点)を結ぶことはできても、未来の点を結ぶことはできない。
だからこそ、将来必ず点が結ばれると信じなければならない。
いつか点が結ばれると信じることは、自分の信念をつらぬく勇気を与えてくれる。

I’m pretty sure, none of this would have happened if I hadn’t been fired from Apple.
It was awful tasting medicine, but I guess the patient needed it.
Sometimes life’s gonna hit you in the head with the brick.
Don’t lose faith.
I’m convinced that the only thing that kept me going, was that I loved what I did.
The only way to do great work is to love what you do.

アップルを一度首になっていなければ、これらの成功はなかったと思う。
つらい試練だったが、私にはそれが必要だった。
人生では時々、まるで頭をレンガで強くたたかれるようなことがある。
でも、決して信念を見失ってはならない。
私が常に突き進むことができたのは、自分の仕事を愛していたからだと確信している。
偉大な仕事をする唯一の方法は、自分のやることを愛することである。

Your time is limited, so don’t waste it living someone else’s life.
Don’t be trapped by dogma witch is living with the result of other poeple’s thinking.
Don’t let the noise of other’s opinions drown out your own inner voice.
And most important, have the courage to follow your heart and intuition.
They somehow already know what you truely want to become.

あなたの時間は限られている、だから他人の人生を生きることでそれを無駄にしてはならない。
他人が考えた定説なんかにとらわれていてはいけない。
他人の意見に自分の心の声をかき消させてはならない。
そして一番重要なのは、自分の信念と直感を貫く勇気を持つことだ。
それらはあなたが本当になりたがっているものを知っているのだ。

『スティーブ・ジョブズ-偶像復活』

アップルコンピューターを創ったカリスマ、スティーブ・ジョブズを追った非公認ノンフィクション、「スティーブ・ジョブズ-偶像復活」を読んだ。
アップルコンピューターを創立し、Macによって熱狂的な支持を勝ち取りながらも1985年、自分の会社から追放される。
しばらく荒野をさまようも1997年、低迷するアップルの「救世主」となるべく、CEOとして復帰する。
そんな彼の「偉大な第二幕」を中心とした波乱万丈のこれまでの経歴とともに、時に自分勝手で短気でありながら人々を惹きつけてやまないカリスマ的魅力を500ページに凝縮したのがこの一冊だ。
夢中で読み終えたころには、私はすっかり彼のファンになってしまった。
彼の最も優れた才能であり、かつ彼を成功に導く最大の要因となったのは、彼の持つ「ビジョンの力」ではないかと思う。
著書では彼を、このように評している。

スティーブとは、信念と猪突猛進の人である。だからこそ、慎重な人ならさけることをしてはひどい目にあうのだが、同時に、信念と猪突猛進の人だからこそ、慎重な人がみんないなくなったあとも、ひとりのこって時代を切り拓くことができるのだ。

スティーブ・ジョブズは輝かしい未来へのイメージを創造し、そこに類まれなる情熱を注ぎ、どんな障害があろうと絶対にたどり着こうとする強い信念と行動力の持ち主だ。
そして、自分の仕事を心から愛していた。
その性格が災いして、周囲の反感を買うなどいろいろ問題を起こしたのも事実だ。
しかし、そんな彼だからこそ、常に最後までやりとおす情熱を燃やし続けられたのもまた事実なのだ。
しかし、ただビジョンを掲げ突き進むだけではない。
同時にそのビジョンを語り、仲間の心に灯をつけてしまうのが彼の偉大なところである。
彼と仕事をともにしたある人は以下のように述べている。

リサの話になるとスティーブは、『宇宙に衝撃を与えるほどのものを作ろう』とよく言っていました。
そんなばかなと思いますよね。
でも、それでやる気になるものなんです。
特に、遊びもせずに研究室あたりに閉じこもっているエンジニアなんかは。
スティーブには、おそろしいほどのカリスマ性があります。
彼が何かを信じると、障害だろうが問題だろうが、カリスマ的なビジョンの力で一掃されてしまいます。
存在しなくなるんです。

また、アップルが成功した理由についても、以下のように述べている。

自分たちがしていることを心から信じていたからです。
お金のために仕事をしていたのではなく、世界を変えるために仕事をしていた。
だからなんです。

いくら優れたビジョンを創ったところで、それを掲げるだけでは意味がない。
現場で働く人たちが同じ思いを共有できなければ、それは飾りに過ぎないのだから。
彼は自分と同じように、仲間たちも輝かしい未来へ向けて猪突猛進させることができたのである。
彼は超一流のビジョンの伝道師でもあった。
彼はいまや、コンピューター、映画、音楽という3つの業界に革命を起こし、3つの業界で偉大なる「icon」=「偶像」になるという前代未聞のハットトリックを成し遂げたスーパースターである。
彼が次に何をして見せてくれるのか、楽しみでならない。

スティーブ・ジョブズ-偶像復活
スティーブ・ジョブズ-偶像復活 井口 耕二

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おすすめ平均 star
star破壊者の軌跡
star最近のジョブズに迫ることができる作品。
starNeXT時代のJobs様と比較にもならんが

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LEMONed -ブログタイトルの由来

このブログのタイトルにある「lemoned」。
これは決して果物のレモン(lemon)でも、レモネード(lemonade)でもない。
これはhideの曲「LEMONed I Scream」からとったものなのだが、「lemoned」という言葉は元々存在しなく、hideの造語なのだ。
「lemon」には果物のレモン以外にも欠陥品という意味もあり、それに過去をあらわす「ed」をつけることで「LEMONed」=「不良品だった」としたらしい。
ちょっとその歌詞の一部を紹介してみよう。

One day I was walkin’ down the street
Lookin’ for the music, any surprise.
Then it happened suddenly,
I hear, I hear
I don’t care.
Everybody so Hate it Hate it.
Because Ah hahaha
I’ve got a sweet poison cake, gonna be high
Take me higher higher
I’ve got a sweet creature song,
It’s a lemon, lemon, lemon & I scream

「ある日、なんかいい音楽ないかな~なんて探してたの。そしたら突然見つけちゃったんだ。みんなが、そんなの嫌いだと言ったって構わない。と~っても素敵な怪物みたいな音楽を見つけちゃった。これこそlemonだ!」
訳してみるとこんな感じなのだろうか。
hideはLEMONedというレーベルを立ち上げるのだが、その思いをこのように語っている。
「大量生産されるこの時代で僅かな確率で生まれる不良品が、似たもの同士の中で異彩を放ち、自分たちもかつては不良品だったと笑えるようになればいい。」
そんなhideの考えがなんとなく好きで、曲名をもじって「lemoned-icecreamの日記」としたのだが、このブログのコンセプトはまだまだ未完成だ。
しかし、ブログを書こうと思い立った理由はもちろんある。
「ネットの本質は知恵を預けると利子をつけて返してくれる銀行であることだ」という(株)はてなの創業者、近藤淳也さんの言葉が「ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか」(4月7日の記事参照 http://d.hatena.ne.jp/lemoned-icecream/20080407)に紹介されていた。
私が興味を持ったモノや出来事(本や音楽、社会現象など)に対する「私自身が持つ情報や考え」をネット側に蓄積していきたい。
そしてそれを見た人が何を考え、思うのかが知りたい。
そういう人たちとのやり取りを通し、このブログがどう変わっていくのか、そして私自身がどう成長していくのかが見てみたい、と、今は漠然と考えている。